
京都市左京区大原にある、天台宗の尼寺 「寂光院」の紹介です。
こちらは、壇之浦で入水し崩御された安徳天皇の母である「建礼門院(高倉天皇皇后徳子)」ゆかりの御寺です。

場所は、大原観光の起点となる「京都バス大原案内所」から北西方向、民宿「大原の里」さんや「大原山荘」さんの前の道を進んだ先にあります。
京都バス大原案内所からは、距離にして約1.1km、徒歩で15分強というところです。

途中、「紫葉漬と大原女の発祥の地」という石碑がありました。
そもそも「紫葉漬」とは、夏野菜と赤紫蘇を塩漬けにし、乳酸発酵させた漬物です。大原の里人から献上された建礼門院が名づけられたと伝えられているそうです。

さらに、大原山荘から寂光院までの間には、左手には上へとのぼる長い階段が続いている場所があります。

長い石畳と階段の先にあるのは「大原西陵」、建礼門院の墓所にあたります。
三千院の近くにある、後鳥羽天皇と順德天皇の「大原陵」に対して西側にあるため、このように呼ばれているそうです。

大原西陵を通り過ぎると、寂光院の入口はすぐそこです。
この場所から入ると、すぐ右手に受付があります。

建礼門院の閑居御所として知られている寂光院ですが、そもそも創建は594年(推古2年)までさかのぼります。
聖徳太子が、父 用明天皇の菩提を弔うために建立された御寺で、初代住職は聖徳太子の御乳人(おちのひと)であった玉照姫が務められたとか。

受付をすませて先に進むと、「山門」までは石段が続いていました。
階段のところどころには、苔むした木の幹が植えられています。紅葉の盛りも過ぎ葉が落ちたその姿に、古色蒼然とした静けさを感じました。

石段の途中、右手に苔の緑も鮮やかな門がありました。

奥に見える建物は、茶室「孤雲」です。京都御所で行われた、昭和天皇の即位の御大典の際に用いられた部材をもとにつくられた茶室なのだそう。
目の前の庭園は、その名のまま「孤雲庭園」と名づけられていますが、残念ながらこちらの拝観はでません。

訪れたのは12月初め、紅葉の名残を楽しみながら山門をくぐりました。

山門をくぐると、正面にあるのが「本堂」です。
こちらは、以前の建物が2000年の火災(未解決放火事件)で全焼し、2005年に以前のままの形で再建されたもの。
いつも行われているかは不明ですが、この日は参拝した人たちは本堂に招き入れられ、椅子に座ってさまざまな説明を聴くことができました。

本堂に向かって右手前には、置き型の鉄製燈籠「雪見燈籠」があります。
五三の桐文を透し彫りしてあることからわかるように、「豊臣秀吉の寄進により伏見城から移されたもの」と伝えられているそうです。

本堂の東側に広がるのは、「四方正面の池」です。
石清水を引いた小さな三段の滝「玉だけの泉」が設けられ、四方のどこから見ても正面となるようになっています。


四方正面の池の横にある「書院」では、ひと休みしながらお抹茶(300円)をいただくこともできるようです。

次回は、「平家物語」にある姿をとどめるという本堂前西側の庭園や、「建礼門院 御庵室跡地」を紹介します。
基本データ 名称:天台宗清香山寂光院 玉泉寺 住所:京都市左京区大原草生町676 拝観時間: (3月~11月)午前9時~午後5時 (12月~2月)午前9時~午後4時半 ※1/1~1/3除く (1/1~1/3)午前10時~午後4時 拝観料:高校生以上600円/中学生350円 小学生100円 電話:075-744-3341 |
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