
引き続き、京都府宇治田原町にある「正寿院」の紹介です。
「風鈴寺」として知られているこちらの御寺、実は鎌倉時代の仏師「快慶」の「木造不動明王坐像」が祀られており、「快慶のお不動さん」としても知られています。

創建は鎌倉時代(1200年)、現在は廃寺となっている医王教寺の塔頭寺院として建立されたのが始まりです。
御本尊は「十一面観世音」、50年に1度だけご開扉される秘仏です。前回ご開扉されたのが1990年だったということで、次にお姿を拝見できるのは2040年ということです。

お姿を拝見できない期間にお参りする場合は、正面にある五色の「結いの紐」をはさんで手を合わせます。
結いの紐は十一面観音の指とつながっていて、紐を介することでご縁を結ぶことができるとか。

昨年(2021年)に訪れた時は、本堂の壁際には47都道府県のご当地風鈴が飾られていました。
鳴らすことができるということだったので、さっそくひとつ音を聴いてみました。
10秒ほどですが、涼やかな風鈴の音色をどうぞ。

先に進むと、こちらから用意されている外履きを利用して、外へと出ることができます。

本堂の周りを囲む細い小道を先へと進むと、何やら可愛らしい置物が見えてきました。


赤い風鈴の下にはだるまが五体、蹲踞(つくばい)には青もみじと陶器の浮き玉が浮かび、舟形が置かれていました。
いろいろなところに目を楽しませてくれる工夫が施されていて、思わず足を止めて魅入ってしまいます。

さらに先に進むと「船形の庭」という、小さなお庭がありました。
正寿院はずいぶんと山奥にありますが、「古来は海であったことから、苔と石が組まれて船の形に見立てられている」そうです。

この船は、御本尊である観音さまが降り立つとされる南方「補陀落山」へと出帆(しゅっぱん)する様子を表わしているとか。
いわゆる「補陀落渡海」のための船ということでしょうか。

船形の庭のすぐ横には、動き回る栗鼠を板戸に描いた「葡萄栗鼠図」を見ることができます。

こちらは問答になっているそうで、描かれている17匹の栗鼠を三人で分けるというもの。
ひとりが1/2、さらにひとりが1/3、残るひとりが1/9もらえるということですが、「注意すること」に描かれている栗鼠を1匹加えた合計18匹を分け合うというのは・・・さすがにダメですかね。

建物周りをぐるりと一周すると、元の場所に戻ってきます。
縁側に面した場所には毛氈が敷かれており、座ってゆっくりと庭を眺めることもできます。「風鈴まつり」の期間であれば、涼やかな風鈴の音に耳を傾けながら、のんびりと過ごすのも良さそうです。
次回は「正寿院」の客殿にある「猪目窓」と「天井画」を紹介します。
基本データ 名称:慈眼山 正寿院 住所:京都府綴喜郡宇治田原町奥山田川上149 拝観時間: (4月~11月)午前9時~午後4時半 (12月~3月)午前10時~午後4時 ※いずれも最終受付閉門15分前 拝観料: (通常時)600円 ※菓子付 (風鈴まつり期間)800円 ※菓子付 (特別夜間拝観期間)800円 ※駐車場利用時には駐車場協力金が必要 拝観不可日:4月第3日曜日、8月17日 「庭を見ながらヨガ」開催日 電話:0774-88-3601 |
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