
滋賀県にある湖東三山のひとつ、龍應山「西明寺」の紹介です。
今回は惣門からではなく、国道307号から東に伸びる小道に入り、名神高速道路の上にかかる細い橋を渡った先にある駐車場に車を停めて参拝しました。

年末の大雪で雪に埋もれたらしい西明寺は、紅葉の名所でもあります。
訪れたのは紅葉も終盤の時期、駐車場でも美しい紅色に染まった木々を見ることができました。

西明寺の創建は平安時代までさかのぼります。
開山である三修上人が本堂裏の閼伽(あか)池で礼拝されたところ、薬師如来が日光菩薩、月光菩薩、十二神将を随えて顕現されたとか。そのお姿を立木に彫刻されたのが、西明寺の御本尊だとされています。

御本尊の薬師如来は秘仏であるため公開されていませんが、御本尊が祀られている内陣中央の厨子左右に、日光菩薩像、月光菩薩像、十二神将像、二天王像などが安置されているそうです。

駐車場側から見た拝観受付です。こちらで入山料をおさめて、庭園へと進んでいきます。

順路に従って、受付前の中門から庭園へとお邪魔します。

中門から入ってすぐの庭園は、美しく手入れされた低木が立ち並んでいました。
雪吊りが施されていることから「それなりの雪が降るのだろう」と思っていたら、今年の元旦には膝上までの雪が降り積もったそうです。

何やら面白い枝ぶりの木があると思ったら、どうやら満天星(ドウダンツツジ)の様子。葉が完全に落ちてしまうと、このような姿になってしまうんですね。
枝分かれしている様子が結灯台に似ていることから、「トウダイ」→「ドウダン」と名づけられたとか。


こちらの庭の見どころは、何と言ってもこの「不断桜」です。
境内の数ヶ所で可愛らしい花を見ることができ、樹齢250年以上の親桜と枝分けした3本が県の文化財に指定されています。

小さな門をくぐった先には、国指定の文化財「蓬莱庭」があります。
戦国時代、織田信長による焼き討ちにあった後、江戸時代に復興されたことを記念して造られたという庭園です。

築山の立石群は、御本尊である薬師如来と、日光菩薩、月光菩薩、十二神将などの眷属を表わしているとか。
植木の刈り込みは雲を形どっていて、薬師如来の浄瑠璃浄土を具現化しているそうです。

「蓬莱庭」の池の中央には折り鶴を形どった鶴島があり、その近くには亀を形どった亀島もあります。池の水の部分は草体の「心」の字にかたどって造られた「心字池」になっています。

この先は、いくつもの石が積み重ねられた階段になっていました。

のぼった先で、蓬莱庭の池を見おろしました。
心字池に映る木々も美しく、紅葉が盛りの頃であれば、息をのむような風景を楽しむことができそうです。


西明寺は、丁寧に手入れされた見事な苔でも有名です。
蓬莱庭を見おろす高台の辺りでは、青々とした苔を堪能することができます。

緑の絨毯の上に散る紅葉との色の対比は言うまでもなく、今度はもう少し早い時期に訪れてみたいと思いました。
次回は、西明寺にある国宝「本堂」「三重塔」を中心に紹介します。
基本データ 名称:湖東三山 龍應山 西明寺 住所:滋賀県犬上郡甲良町大字池寺26 入山時間:午前8時半~午後4時半(閉門30分前受付終了) ※12月31日は午後3時まで 入山料:高校生以上600円 中学生300円/小学生200円 電話:0749-38-4008 |
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