今回は「阿弥陀堂」からお邪魔しました。
堂内は板張りと畳敷になっていますので、脱いだ靴を準備されているビニール袋に入れて持ち歩くことになります。
濡れ縁から「御影堂門(ごえいどうもん)」の方向を撮影してみました。間にある瓦屋根は、前回紹介した手水舎です。
この縮尺からも想像できるように、東本願寺の境内はかなりの広さです。外を端から端まで歩き、堂内もくまなく見て回ったら、良い感じの散歩になるのではないでしょうか。
「阿弥陀堂」には、ご本尊の阿弥陀如来をはじめとし、その左右には聖徳太子、そして親鸞聖人の師である法然上人の絵像が安置されています。
残念ながら堂内の写真撮影は禁止されていますので、今回写真をお見せすることはできませんが、金箔がはられた内陣本間の荘厳な雰囲気にはとても圧倒されました。
とはいえ、周囲はただただ静か。畳を418枚使った広大な畳の間で静かに座すと、不思議と心が落ち着くものです。
渡り廊下を通って「御影堂」へと向かいます。
その途中、大きなそりなどの展示物を見ることができました。
これは「大橇(おおぞり)」と呼ばれるもので、明治に行われた御影堂、阿弥陀堂の再建の際、雪が降り積もった山間から切り出した木材を運ぶために利用されていたものだということです。
大橇を利用した運搬の際には雪崩事故も発生しており、現在の新潟県上越市の尾神嶽(おがみだけ)では雪崩に巻き込まれた約100人の人々が雪の下敷きになったと伝えられています。
逃げ遅れた多くは年寄り、女性、子供で、約50人が負傷、27人の方が亡くなったとか。「尾神嶽受難」と呼ばれている悲劇です。
このジオラマは、上越市在住の大橋広史氏のご尽力によって作成されたものだということでした。
こちらは「毛綱」と呼ばれる引き綱です。巨大な木材の搬出、運搬に使用されていたもので、当時、全国各地から53本の毛綱が寄進されたそうです。
材質はなんと女性の髪の毛と麻、それらを撚り合わせて編まれているとか。もっとも大きな物で長さが110m、太さが40cmもあったというのですから、いったいどれだけの髪の毛が必要だったのか、想像も追いつかないですね。
ちなみに展示されている写真の毛綱は、長さが約69m、太さが約30cmだということですので、実際にはこれよりも大きいものがあったということです。
今度は「御影堂」の濡れ縁から、「御影堂門」を撮影してみました。
濡れ縁は磨き上げられ、美しい光沢を放っています。
このような板張りの廊下は、幼い頃小学校の旧校舎で板張りの廊下の雑巾がけをしていた身としては懐かしい雰囲気です。
「御影堂」は真宗門徒の根本道場(お念仏の教えを聞く道場)で、中には親鸞聖人の御真影が安置されています。
御真影を中心にして、その左右には阿弥陀如来のはたらきを漢字で表した「帰命尽十万無碍光如来」の十字名号と「南無不可思議光如来」の九字名号、そして中興の祖である蓮如上人をはじめとした、歴代の門主のおすがたがかけられているそうです。
こちらも、堂内は写真撮影禁止になっています。
927枚もの畳が使用された御影堂の堂内には、伽羅や白檀などのお香の香りがほのかにただよい、なんとも気持ちが落ち着く空間でした。
御影堂を後にして、続く板張りの廊下を進むと、その先にはシアタールームや参拝接待所などがあります。
興味がある方は、休憩がてら足を運んでみてください。
参拝接待所の入口から見た御影堂門と京都タワーです。
古い作りの門と近代的なタワーを一緒に見ることができるのも、ある意味京都ならではだと思います。
帰りは再び御影堂門から。道路を渡ったところに、蓮華の噴水がありました。
ここからさらに奥にある道路(烏丸通)を渡って少し進んだ先には、池泉回遊式庭園をもつ東本願寺の飛地境内地(別邸)があります。「渉成園」です。
庭園には四季折々の花が咲きほこり、変化に富んだ景観は「十三勝」や「十景」として高い評価を受けているそうですので、また別の機会に訪れてみたいと思います。
京都駅から徒歩数分の場所にある「東本願寺」、拝観料は無料です。
少し時間ができた時にでも、散歩がてらゆっくりと過ごしてみるのはいかがでしょうか。
なお、御影堂と阿弥陀堂の前にはキャリーバッグやベビーカーを置く場所があるので、大きな荷物がある方も安心して利用できると思います。
基本データ 名称:真宗本廟(真宗大谷派 東本願寺) 住所:京都市下京区烏丸通七条上る常葉町754 開門時間 (3月~10月)午前5時50分~午後5時半 (11月~2月)午前6時20分~午後4時半 拝観料:無料 電話(参拝接待所):075-371-9210 |
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