護王神社(京都市上京区) 狛いのししを見ることができる神社

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 京都御所の西に位置し、足腰の健康・病気怪我回復のご利益がある神社「護王神社」の紹介です。

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 「護王神社」は、「狛犬」ならぬ「狛いのしし」がいることでも有名な神社です。
 何故いのししなのかというと、これは護王神社の御祭神である「和気清麻呂(わけのきよまろ)」公に由来します。

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 奈良時代は称徳天皇の御代、天皇の位を我が物にしようとしていた弓削道鏡の野望を、九州の宇佐八幡宮のご神託をもって暴いた和気清麻呂は、怒りをかって大隅国(鹿児島県)に流されます。
 その道中、宇佐八幡宮に立ち寄るため、清麻呂の一行が豊前国(福岡県東部)にさしかかった時、どこからともなく表れた300頭のいのししが現れ、清麻呂の輿を守りながら約40kmの道のりを案内してくれたとか。
 このことから、「清麻呂公のお社には狛犬ではなく狛いのししを」という声により、護王神社には狛いのししがいるそうです。

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 ちなみにこちらは、「表門」に向かって右手にいたいのしし。ちょっと可愛らしい雰囲気があります。

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 「表門」には、「足腰御守」という大きな御守が掲げらけていました。
 この手前には「足萎難儀回復御守護石」があり、上の黒い石を回すことでご利益をえることができるとか。
 また、こちらの「表門」は、大正天皇即位の御大礼で使用された大嘗宮春興殿正門が下賜されたものだということで、平成18年の改修により現在の姿となっているそうです。

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 表門をくぐると、目の前には「拝殿」があり、こちらにも雌雄一対の「狛いのしし(霊猪像)」が建てられています。
 表門の前にいるいのししよりも、少し小ぶりでしょうか。

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 表門から拝殿に向かって右手には、手水舎がありました。
 こちらにいる、ブロンズのいのししは「幸運の霊猪」と呼ばれているそうで、「鼻をなでると幸運が訪れる」と言われているそうです。
 通常でしたら口元から水が流れでていて手水を使うことができますが、訪れた時は新型コロナウィルス感染拡大防止のためか、止まっていました。

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 拝殿の奥にある唐破風造りの建物は、「中門」です。入ることはできませんが、奥には「本殿」があります。

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 本殿に向かって右手にある「招魂樹(おがたまのき)」のすぐそばには、「足萎難儀回復の碑」があります。
 護王神社に足腰守護の御利益があるのは、これもまた和気清麻呂公に由来するそうです。なんでも九州に流された時、足萎えで立つこともできなかった清麻呂公が、いのししの守護によって不思議と立って歩けるようになったという故事にちなんでいるとか。
 樹の根元にある紙札は「座立亥串(いらたていぐし)」という、願掛けの串です。自分の名前と願い事を書いた紙宇田を刺し立てて願がけするという、護王神社独特の信仰です。
 足腰の病気やけがの回復を願う参拝者は、足形の石の上に乗ったり、碑をさすったりして祈願するそうです。

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 さらに右手へと進むと、「和気清麻呂公銅像」がありました。そのまっすぐな視線が向かう先は、京都御所の方向です。
 清廉潔白と称された和気清麻呂のイメージをよく表しているこの銅像は、平成10年(1998年)の「和気清麻呂公1200年祭」を記念して建てられたもの。台座の文字は、茶道 裏千家の前家元 千玄室氏の御揮毫だとか。

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 銅像の後ろには、「さざれ石」がありました。
 幅3メートル、高さ2メートルのこちらのさざれ石は岐阜県揖斐郡春日村の産で、石灰石が長い年月のうちに雨水に溶解し、時には乳液状となって、大粒な石、小粒な石を次々を集結、自然に大きな巌となったものです。

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 他にも境内には、京都市選定の名木「かりんの木」があります。平成10年の調査時で、幹周1.57メートル、樹高14メートルのこの「かりんの木」は、樹齢100年を超えているそうです。
 毎年、樹皮をはがしながら成長し、春の終わりには淡い紅色の花を咲かせ、秋になると黄色の大きな果実をつけるそう。
 この果実の効用から、「ぜんそく封じの御神木」として知られているとか。

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 かりんの木の隣にある大きな石は、吉井勇氏が「榠櫨(カリン)」を詠んだ歌が刻まれています。素朴で味わい深い作風で、かりんの御神木がそびえる護王神社にご縁があるということで、この歌碑が建てられたとか。
 また、吉井勇氏といえば、祇園白川沿いにある「かにかくに碑」でも知られています。

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 神社の外周りには、和気清麻呂の活躍を描いた絵巻がズラリと並んでいます。
 一般の道路沿いに設置されているのも珍しい気がいますが、道路向かいが京都御所の蛤御門に近いので、観光客の興味をひくのには良い趣向だと思いました。

 境内はそれほど広くはありませんが、見どころいっぱいの「護王神社」。奈良時代に興味がある方やいのししが好きな方は、一度じっくりと見てみるのもお勧めです。
 京都御所を見学される際は、ぜひ足をのばしてみてはいかがでしょうか。


 基本データ
 名称:護王神社
 住所: 京都市上京区烏丸通下長者町下ル桜鶴円町385
 拝観時間:午前6時~午後9時
 授与品・御朱印受付時間:午前9時~午後5時
 拝観料:無料
 電話:075-441-5458

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posted by ウィロー at 11:00 Comment(0)寺社・仏閣日記    

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