
京都の有名な観光スポット、八坂通沿いにある「金剛寺庚申堂」通称「八坂庚申堂」の紹介です。
こちらは、大阪市の「四天王寺庚申堂」、東京都台東区の「入谷庚申堂(現在は小野照崎神社の境内に庚申塚が残るのみ)」とともに、日本三庚申の一つとされています。
ご本尊は、飛鳥時代に中国大陸より渡来した秦氏の守り本尊であった「青面金剛童子」。一般の人々がお参りができるように、堂を建てて祀ったのが金剛寺の始まりだとか。

カラフルな「くくり猿」で有名な「八坂庚申堂」は、写真が映えることもあって人気のフォトスポットになっています。
訪れた時は、多くの県で「新型コロナウィルス緊急事態宣言」が解除された直後。境内には他の観光客はいませんでしたが、ここ数年は人であふれかえる状態が続いていました。
とはいえ、こちらはただの観光地ではなく神さまを祀る神社。境内にはこのような注意書きがありました。もちろん、先に本堂にお参りすることにします。

境内は広くないため、本堂はすぐ目の前です。お賽銭をあげてから手を合わせ、さっそくカメラを構えました。
「八坂庚申堂」の名前にある「庚申」とは、十干・十二支の60通りある組み合わせのうちの一つです。
この日の夜に人間が眠ると、体内にいる三尸(さんし)虫が天に上り、天帝のその人の罪過を告げ命を奪うとされたことから、庚申の日に神仏を祀って徹夜をする行事「庚申待(こうしんまち)」が行われていたとか。

「庚申」の「申(さる)」から「猿(さる)」が通じることで、猿が庚申の使いとされているそうです。
本堂の両脇に飾られているのは、カラフルな布で作られた「くくり猿」。背中にあたる部分に願いを書いて奉納されています。
手足がくくられているから「くくり猿」というそうですが、欲望のままに行動する猿を動けない姿にすることで、人間が欲に走らないように戒めているのそうです。

猿は他の場所でも見ることができます。本堂の前にある香炉を支えているのは、三匹の猿「見ざる、言わざる、聞かざる」の三匹の猿。
口を押え、目をふさいでいる様子に、なんとも愛嬌があります。

境内の傍らには、瓦のようなものが置かれていました。右から、「龍(辰)」「牛(丑)」「蛇(巳)」「蛇(巳)」「虎(寅)」「羊(未)」のようなので、十二支に関するものでしょうか。
立体的に彫られていたのが印象的だったので、思わず写真を1枚。


本堂の手前にあるお堂には、お地蔵さまが祀られていました。
連なったくくり猿の数からも、「八坂庚申堂」の人気のほどがうかがえます。

ちなみに、こちらが数年前に訪れた時の大混雑の様子です。
海外からの観光客が戻るにはまだまだ時間がかかりそうですが、京都府の「緊急事態宣言」も解除されましたので、少しずつこの賑わいが戻っていくのでしょう。

門のところから、誰もいない境内の様子を撮影してみました。
無人の「八坂庚申堂」の写真は、かなり貴重なものではないでしょうか。

境内から一歩踏み出すと、すぐ横には有名な「八坂の塔(法観寺)」がそびえたっています。
いつもならまだまだ賑わう時間帯のはずですが、近くの二寧坂、産寧坂、清水坂のお店が軒並み臨時休業だったためか、ほとんど人影はありません。

数年前に撮った、夕暮れ時の「八坂の塔」です。夕焼けに照らされた塔は、まさしく京都を代表する風景のひとつ。
人が多すぎるのも良し悪しですが、少しでも早く皆が安心して旅行することができる日常が戻ってくることを祈っています。
基本データ 名称:大黒山延命院金剛寺庚申堂 (八坂庚申堂) 住所: 京都市東山区金園町390 拝観時間:午前9時~午後5時 拝観料:無料 電話:075-541-2565 |
この記事へのコメント