岡山県にある美作三湯(湯郷・湯原・奥津)のうち、文字通り最も奥にある奥津温泉。
その滑らかなお湯は、ある化粧品メーカーが参考にしたという話もあるほどの名泉です。
その名泉、それも源泉かけ流しを超えた「足元湧出」の湯に浸ることができるのが、こちらの奥津荘。
奥津温泉に並ぶ宿のうち、もっとも格式高いお宿です。

奥津温泉は小さな温泉地で、歓楽街はありません。
お宿が立ち並ぶ静かな通りに、奥津荘さんも面しています。昭和初期に創業したこちらのお宿は、国の有形文化財に指定されました。
この重厚な唐破風の玄関も、文化財の申請理由になっているそうです。

立ち寄り湯の受付時間は午前10時45分から午後2時まで。
不定休ですので、事前に確認されることをおすすめします。

中に入ると良くわかる、一階全面を囲む格子。
文化財にふさわしい、格調高い建物だと思います。

こちらは犬養毅元首相や宗像志功など、多くの偉人に愛された宿。
そもそも鍵湯の名前の由来は、津山国主である森忠政が、一般の入浴を禁じ鍵を掛けたことに始まります。
多くの歴史が降り積もる伝統のお宿で、時の国主が愛した温泉、というわけです。


立ち寄り湯の時間は、男湯が鍵湯になります。
奥津荘さんは特別室を合わせても部屋数8と小さなお宿なので、脱衣場はかなりシンプルなものでした。

温泉のデータ
源泉名:奥津荘 鍵湯
泉質:アルカリ性単純温泉
源泉温度:42.6℃
pH:9.2
成分総計:1リットルあたり0.12g
お湯の印象:無色透明無臭、滑らかな肌触り

お湯の使い方
加温:無し
循環:無し
消毒:無し

浴室の中はかなり照明が抑えられていました。
まずは明るく加工した1枚。浴室には、階段を下りていくつくりになっています。

実際はこのくらいの照明です(いずれ目は慣れますが)。
浴槽は内湯一つで、浴槽の底にある花崗岩は外を流れる吉井川の川底と一枚岩でつながっているとのこと。
その吉井川には川底に泉源がいくつもあり、そんな中に作られたのがこの浴槽です。そのために浴槽の底は少しゴツゴツとしており、注意が必要なところもありました。

この日は運よく、立ち寄り風呂は貸し切り。
化粧品メーカーが参考にしたというのも納得の、滑らかで鮮度最高のお湯を楽しむことができました。
奥津温泉の本当のお湯を知りたいのなら、奥津荘さんは体験必須のお宿だと思います。
基本データ 名称:名泉鍵湯 奥津荘 住所:岡山県苫田郡鏡野町奥津48 営業時間:午前10時45分~午後2時半(受付は午後2時まで) *日帰り温泉の受付時間 入浴料:大人1,000円 小人500円 休業日:不定休(要確認) 電話:0868-52-0021 |
この記事へのコメント
モノノフ
ウィロー
川湯、いいですね。今はシーズンではないですが、夏の川湯もそれはそれで。久々に行きたくなりました。
川湯はたまに泉源にあたると、すごい熱い湯が沸きだして悲鳴を上げてしまうことがあります。